今回は同宿の方とこの原生林へ。
目的は「水汲み」です。
養生園を訪れたのは4月半ば。
冬の間、山に降り積もった雪が春になって解け出る雪解け水は、一年の中でも一番美味しいと聞き、早速飲みに出かけました。
山もかなり上まで来ると足場も不安定になり、次回は軽登山靴を持ってこようと思いました。
滑らぬように、足元の岩や木に気を付けながらゆっくり進みます。
有明山神社の奥宮の入り口まで来ると急に道も歩きづらくなり、というか道らしい道が見当たらなくなると原生林に到着の様です。
途中休み休み、里の家から40~50分程(?)かかったでしょうか。
ようやくきれいな水が汲めるポイントに到着しました。
水汲み用の容器など持ち合わせていませんから、まずは手持ちのマグで雪解け水をいただきました。
まろやかでやわらかく、どこにも引っかからずにすっと喉の奥に入っていきます。
からだ中に沁み込むようで本当に美味しく、まさに自然の恵みだと実感しました。
十分いただいてから手持ちのペットボトルに入れて、宿に戻りました。
今回、この写真の道具とコーヒー豆を持参していたので、マグでお湯を沸かし、ペーパーフィルターをセットし、早速コーヒーを淹れました。
思いがけず美味しい水をくむことができたので、荷物に入れようか迷った道具一式ですが、持って来てよかったです。
マグカップ1杯分しか取れませんでしたが、養生園でご一緒している女性たちと分けて飲みました。
水がいいのでコーヒーもとてもまろやかで美味しく、皆さん一口ずつ味わいながら喜んで飲んでくれました。
雪解け水の美味しさをシェア出来て、わたしにとっても楽しい思い出となりました。
安曇野の自然に感謝。
ー穂高養生園(5)へつづくー (たぶん最終回)
初夏らしい日が増えて、外で過ごすのが気持ちのよい季節となりましたね。
ドルチェとよく行くスタバ吉祥寺東急店はテラス席が30席以上あるので犬連れにはありがたいのですが、それでも最近は空席待ちをするほどになりました。
ではでは、穂高養生園の続きです。(前回はこちら)
養生園にはゲスト専用のカフェ、「木と人カフェ」があり、養生園スタッフが美味しいお菓子を作って迎えてくれます。
カフェの2階には広いホールがあり、本を読んだりヨガをしたりと、思い思いに過ごすことができます。
里の家からは徒歩20分程の森エリアにあり、舗装道路も整っているので車で行くこともできますが、わたしは山の中を抜けて行く裏道が気に入り、ハイキング気分を楽しみながらカフェと里の家を行き来していました。
このあたりはいろいろな野生動物が棲息するエリアでもあるので実際にその姿を見かけたり、痕跡を見ることができます。
クマも棲息しているので歩く時は熊鈴必携です。
一番よく出会ったのはサルで、右の写真は、木と人カフェの前にある陽当たりの良い岩の上で2匹がグルーミングをしていたところを撮ったものです。
ポカポカと気持ちいい場所を良く知っているのですね。
サルは森の中だけでなく里の家の周辺にも現れます。
作物被害に悩む農家の話を良く聞きますが、このあたりのサルも山から下りて来ては、食べ物を熱心に口に運んでいました。
山道を歩いていると様々な動物の糞も見かけます。
わたしはそれが何の動物のものかはわかりませんが、養生園の方は形状などから、「これは〇〇の糞」などと教えてくれるので、この山の豊かな生態系を想像することができます。
今回一番感動したのは、ニホンカモシカと出会えたことです。
山道での思いがけぬ至近距離での遭遇でした。
ニホンカモシカはウシ科の動物だとスタッフの方から聞いていましたが、ふたつに分かれた蹄から、ウシと同じ偶蹄目の動物であることが見てとれます。
動きもウシのようにゆったりで、実際に山で会ったニホンカモシカも人間の出現に急いで逃げる様子もなく、かなり長い間立ち止まってこちらをじっと見つめていました。
立ち去る時も、振り返りざまにこちらを見ながらゆっくり歩いていきましたが、後日調べたら、ニホンカモシカは好奇心が強い生き物だそうで、自分の縄張りに入ってきた人間の様子をうかがっていたのかもしれません。
特別天然記念物のニホンカモシカを間近で見られたことに感動し、またいつか会えますようにと心の中で願いながら、後姿を見送りました。
また養生園を訪れる楽しみが増えました。
この曲は、バロック時代のフランスの作曲家、クープランの「恋のうぐいす」です。
最初にこの曲を聴いたのは、大好きなフルートの時代楽器奏者、有田正広氏のピッコロによる演奏でしたが、うぐいすたちが飛び交う姿が目に浮かぶかのような、生き生きとしたメロディーにすっかり魅了され、以来お気に入りの曲となっています。
先日、ふとこの曲が吹きたくなって譜面を入手しようとパソコンで調べていると、ベランダの手すりでカツンッという音がしました。
風で何かが飛んできたのかとその方向に目をやると、一羽のハトが留まっていました。
しばらくするとパートナーらしきハトもやってきて、二羽は徐々に近づき、コミュニケーションをとるかのようなしぐさを見せてくれました。
シャッターチャンスは逃したのですが、二羽はさらに近づいて顔を寄せ合ったりして、何とも微笑ましい光景に気持ちがほっこりとしました。
地元武蔵関でも微笑ましい光景がみられます。
毎年この季節に駅の階段を上り下りしていると、
頭上を小さな黒い影がヒュッと通り過ぎるのに気づきます。
ツバメの巣作りの季節です。
いつも同じ場所にあるので、古巣を利用しているのかもしれません。
駅の構内なんて一見巣作りには向かない場所のようにも思いますが、外敵に狙われやすいツバメにとって、始終人が行き来するこの場所は、人間の往来と夜間の駅のシャッターというふたつのセキュリティーシステムが24時間稼働している、なかなか理想的な場所のようです。
彼らも子孫を残すために、ヒナを安全に育てられる場所を賢く選んでいるのですね。
実はこの場所、駅の階段の壁なので彼らの落し物が通行人の頭にポトリ、となってしまう場所でもあるのです。
そのため、左の写真のような糞除けのボードが巣の真下に設置されています。
ツバメの巣は通りがかりのわたしたちにとっては微笑ましいものですが、民家の軒下に作られると家主さんは糞害に悩まされることになり、翌年は駆除対策をすることもあると聞きます。
このボードは武蔵関の駅員さんが作ってくれたのでしょうか。
ツバメと通行人双方への配慮に、またまたほっこりとした気持ちになりました。
「ツバメが3回巣をつくる家は縁起がいい」と言われるそうですが、スマホのカメラを向ける人も多く、わたしたちも彼らの存在に癒されているのを感じます。
もうじきツバメの子育てがみられるこの季節は、駅を通るのが楽しみになります。
5月に入りましたね。
今日は一日オフだったので、数日分の副菜を作って冷蔵庫へ。
最近のお気に入り、「きくらげの炒め物」と「おからの豆乳マヨネーズあえ」もストックしました。
どちらも養生園で教えてもらったレシピです。
では前回に引き続き、今回は養生園の魅力のひとつであるお食事の話を。
養生園の食事はマクロビオティックをベースにした玄米菜食です。
一汁三菜に香のものが添えられた食事には、菜園や地元農家の新鮮で安全な野菜やがふんだんに使われています。
また、卵や乳製品が使われていないので、普段は動物性食品を摂らないわたしにもありがたい、ヴィーガン対応の献立です。
ヴィーガンメニューは物足りないイメージがあるかもしれませんが、工夫をこらし丁寧に支度された養生園のお食事は、満足感いっぱいでした。
どのお料理も箸をつけるのがもったいないくらいに綺麗で、そして本当に美味しかったです。
ホールからはガラス越しにキッチンが見えるのですが、調理担当のスタッフの皆さんが食事の準備や盛り付けをしている様子はとても丁寧で心がこもっていて、お食事を通して元気をいただける理由がよくわかります。
食べ物が体を作ると言われますが、それは栄養学的なことだけではないことを、養生園のお食事をいただいてしみじみ感じました。
夕食には美味しいデザートも用意されています。
添えられているハーブは養生園のハーブガーデンで育てられたものです。
そのまま食べられるのですが、スタッフの方のお勧めで、食後にお湯を注いでハーブ湯にして香りを楽しんでみました。
飲むとふわっと優しい香りが広がります。
五感をフルに使っていただくお食事は、体の隅々までエネルギーが行きわたるようです。
昨今、出来合いのものを使って手早く済ますことも出来るようになった日々の食事ですが、体と心を養う食の大切さを再発見した養生園のお食事でした。