浅草お気に入り、その1


今日はプライベートのお話です^^


久しぶりに浅草へ行きました。

外出の目的地は浅草ではなく、先月後半に生まれて初めて出かけた青砥でした。

再び青砥へ向かった理由は、駅近くの”かつしかシンフォニーヒルズ”で行われた知人の舞台鑑賞の帰りにふらり立ち寄ったお店で雨傘をうっかり置き忘れてしまい、今回はその受け取りでした。


青砥へは自宅から結構な距離があります。

自分の不注意とはいえトンボがえりはちょっと勿体ない気がして、どこかで買い物でもして帰ろうかと電車の路線図を眺めていたら、青砥から浅草まで電車が乗り入れているのですね。

迷わず途中下車することにしました。



平日の昼間、浅草に行ったら必ず寄りたい場所がここです。

 

十代の終わりに蕎麦の美味しさに目覚めさせてくれたお店で、その魅力からずいぶんと蕎麦屋めぐりをしましたが、長年変わらぬ不動の一位がこの並木藪です。

 

 

日本酒はこれひとつ。菊正宗の樽酒です
日本酒はこれひとつ。菊正宗の樽酒です

当時、まだ二十歳そこそこのわたしが江戸の老舗で目にした大人たちの姿は今でも印象に残っています。

 

仕事の合間なのか、休日なのか、常連とおぼしき人たちが陽が傾く前から焼き海苔や板わさをつまみに日本酒をちびちびやり、締めに蕎麦をさっとすする。

大勢で群れることもなく、酔っぱらうこともなく、ましてや愚痴ることもない。実に自然体にケの日のひと時を愉しむ姿を見て、こんなふうに恰好よく歳を重ねたいと思ったものでした。


そんな光景を思い出しながら、わたしも日本酒を冷やでたのみました。

菊正宗のこもかぶりが店内に置かれているのが印象的で、鼻の奥にふわり広がる樽の香りがこの店に来たことを実感させてくれます。

 

締めは天ざるそばをお願いしました。

天ぷらに添えられてくる温かいつゆで冷たいお蕎麦もいただきます。

もりそばのつゆほどに濃くはないけれど、おそらくどこよりも辛い並木藪のつゆらしさがこのつゆにも感じられて、これもまた「並木藪に来たなぁ」と思わせてくれます。


この店のベテラン揃いの店員さんはサービスも小気味よく、何十年通っても飽きない味わいもさることながら、常連一見分け隔てない接客もまた見ていて心地よいものです。


こんなお店が散歩の距離にあったらいいだろうなと思いながら、次に向かうためにお勘定をお願いしました。