邪気と背守り

籠目の刺繍の背守り
籠目の刺繍の背守り

 


背守り。

 

先日のセミナーの時にちょっと話に出た、赤ちゃんや子どもの服(着物)の背中に縫い付けるお守りです。

 

邪気は背中から入るといわれています。大人の着物には背中に縫い目(背縫い)があるので、この縫い目が邪気を睨みつけて追い払うとされていますが、こどもの衣類は身幅が狭く背縫いがないため、母親が縫い「目」を付けるのだそうです。

 

この背守りですが、刺繍を施す場所が東洋医学のツボでいう「風門」の位置とちょうど重なります。東洋医学では風門から邪気が入り、これが悪さをすると風邪になると言われています(風の邪気)。

わたしたちの日常生活に浸透している考え方や習慣は、東洋医学の考え方のベースにもなっている陰陽五行に通じるものがとても多いので、このふたつは繋がっている話なのだと思います。

 

この写真の文様は籠目(かごめ)といって邪気を封じる力があるとされていますが、他にもツルやカメ、コウモリ、ウサギ、トンボ、小槌、波etc.
背守りの図案はたくさんあり、どれもいわれのある縁起の良いものです。
セミナーにご参加くださった方からも図案のご質問をいただきましたが、お好きなデザインでもOKだと思います。
健康を願う気持ちを込めて刺繍をしてあげれば、きっと邪気はその「目」を恐れて退散することでしょう。


これから風邪が本領を発揮する季節がやってきます。
大切なお子さんやわんちゃんたちのために、素敵な日本の風習を思い出して、ちょっと手仕事はいかがでしょうか?